すごいぞ杭州!⑩
世界遺産にも登録された名所 西湖(せいこ)
番号が飛びますが、最新のものを先に掲載します。
西湖は杭州市街地の西に位置し、中国でもよく知られた名所です。絵画のような風景の素晴らしさで、中国十大風景名勝の一つに数えられ、「西湖十景」と呼ばれる絶景スポットが点在します。詩人蘇東坡(そとうば)が春秋時代の美女西施(せいし)にたとえたことから西湖と呼ばれるようになったといわれています。西湖の西側は杭州一の繁華街で、高級ホテルや百貨店、時代の最先端を扱う専門店があります。またレトロな街並みを再現した河坊街(かぼうがい)もあります。東側には中国を代表する緑茶である「龍井茶(ろんじんちゃ)」で有名な龍井村があるなど、まさに杭州の中心に西湖がある、といった感じです。
現在の西湖畔は散歩やランニングをしたり、景色を楽しんだりする人でいつも賑わっていますが、かつては生活排水の影響で水質が悪化、流れ込んだ土砂や泥が湖底にたまり、水草が生い茂るなど荒廃が進みました。戦後、数回にわたる大規模な整備が行われ、西湖総合保護プロジェクトによって、今の姿に生まれ変わりました。湖底から集められた大量の土砂は「江洋畔生態公園」として整備され、水質が改善されたことによって、水中をただよう水草や魚の姿が見られるようになりました。西湖は2011年に世界文化遺産に登録されましたが、西湖の自然環境と景観を保護する取り組みが評価された成果ともいえそうです。
中国では観月と言えば西湖といわれており、満月が一年で最も美しいとされている中秋節には、西湖の月を楽しもうと多くの観光客が訪れます。湖面に浮かべた船からは二つの月が見られます。一つは夜空に浮かぶ月、もう一つは湖面に浮かぶ月です。また、西湖の中ほどに田の字型の小島があり、別名を三潭印月(さんたんいんげつ)と言います。この島の南に三つの石灯籠が立っているのですが、中秋の名月にはこの石灯籠に火がともります。月と、湖面にうつる月、灯篭をセットで楽しめるのは中秋節だけなので、それを目的に遊覧船に乗る人たちで深夜まで賑わいます。